黄金の釜

昔、ある所に、良いお爺さんと悪いお婆さんがいました。ある日、地面が地震のように揺れ、地の底からうなり声が聞こえてきました。それが何日も何日も続いたのです。

お爺さんは見に行くと、地中から黄金の釜が姿を現し噴き出してくるところでした。驚いたお爺さんはお婆さんに伝えて、お婆さんが見に行くと釜は引っ込んでしまいました。その後も、お爺さんが見に行くと釜が噴き出し、お婆さんが見に行くと引っ込んでしまいます。

お爺さんが釜を拾い上げて家に持ち帰ると、お婆さんが怒って釜を殴りつけました。すると釜が「痛い、痛い。こんなことなら、知立明神へ行きたい」と泣き出しました。お爺さんはそれを聞き驚いて村人と相談し、釜を知立明神に奉納したということです。

一説には、釜にはもともと「知立明神」の銘があったともいわれています。この時から、釜がでた所を「釜ケ淵」、その村を「福釜」(ふかま)と呼ぶようになったとのことです。

 

福釜は現在の安城市福釜町。知立神社から真南に2里(8キロ)離れた所にあります。この話は知立神社が関わる地名起源譚です。奉納されたという釜は今はどうなったのか、それは謎です。 

出展 『新編 愛知県伝説集』福田幸男著 昭和36年


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