昔話「片目の鯉」

当社に関する昔話や伝説を紹介していきます。まずはいちばん有名な「片目の鯉」のお話です。

 

昔むかしの話。池鯉鮒宿のとある長者の家には代々目をわずらう者が多かったとのこと。その家に信心深く気立ての優しい娘がおりましたが、或る時から目を患い、病篤くあわや失明という容態になってしまいました。両親は深く心配し、娘の目が良くなるようにと、くる日もくる日も池鯉鮒大明神のご神前に通い、「大明神さま、どうか娘の目の病いを治して下さい。以前のような明るさを取り戻して下さい」と、ただひたすらにお祈りをいたしました。

二十一日目の満願の日、突如娘の目がはっきり見えるようになりました。驚き喜んだ娘は父母とともに、お礼参りに神社を訪れました。境内にある御手洗池(みたらしいけ)をのぞき込んだ娘は驚きました。「お父さま、見て下さい。池の鯉がみんな片目になっている」。父母が池を見ると確かに、どの鯉もどの鯉も片目になっていたのでありました。

これは神様のお使いの鯉が信心深い娘に片目を与えたのだろうということで、以来御手洗池で目を洗うと眼病が治ると信じられるようになりました。大正の頃までは、実際に池で目を洗う人が見られたそうです。
(参考:『知立市史』下巻、加藤則幸著『昔話 天狗火』)


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